患者負担が大幅減 手術を受けるなら「ERAS」病院
「手術」と聞くと、ほとんどの人が不安になるものだ。がんや心臓などの大きな手術になるとなおさらで、長期間入院するつらい闘病生活をイメージする人も多いだろう。しかし、病院の選び方で手術の不安や苦痛は激減する。
欧米で実績がある「ERAS(イーラス)」と呼ばれる術後回復能力強化プログラムが注目されている。入院→手術→退院の間に行われる医療行為を科学的根拠に基づいて見直し、それまで慣例や経験則で行われていた無駄な医療行為や、患者に負担がかかっている処置を排除したものだ。
必要最小限の医療行為を受けるだけで済むため、患者の負担が大幅に減り、病気によっては入院日数が短縮できるケースもある。
ERASを導入している神奈川県立がんセンターで麻酔科医(非常勤)を務める神奈川県立保健福祉大の谷口英喜教授(栄養学科)に、詳しく解説してもらった。
「同じ手術を受けたとしても、ある病院では1週間で退院できるのに、ある病院では退院まで1カ月かかるケースがあります。科学的根拠がない無駄な医療行為を慣例で行っている病院の場合、必要のない絶食や投薬によって、しばらく寝たきりで安静にしていなければならず、患者の回復力も遅れてしまうのです」