患者負担が大幅減 手術を受けるなら「ERAS」病院
■普通の生活に早く戻れる
一方、ERASを導入している病院では、どこでも同じ水準の必要最小限の医療行為を受けるだけで済む。
「患者さんの負担は大幅に減ります。手術後、短い期間で食べたり動いたりできるので、入院中も通常に近い生活ができる。それだけ早く普通の生活に戻れます」
たとえば、大腸がんの手術を受ける場合、従来通りの病院では〈入院前のカウンセリング〉から〈予後の調査〉まで15項目の医療行為が行われているのに、ERASを導入している病院では、不必要な〈絶飲食〉〈投薬〉〈医療処置〉が削られ、11項目で済むケースもある。それだけ、「食べられない、動けない、痛い」という患者の負担が減るわけだ。
「大腸がんだけでなく、食道がん、胃がん、婦人科疾患、泌尿器疾患、心臓疾病の手術でもERASが導入されています。ただ、病院全体で導入しているところはまだ数えるほどで、疾患ごとの病院が多い。現在、全国で200施設前後に導入されています」
大々的にERAS導入を掲げている病院もまだ少ない。導入されている病院で手術を受けようと思ったら、「クリニカルパス」と呼ばれる病院が患者用に公表している手術予定表を確認すればいい。ほとんどの病院のホームページでチェックできる。