危ない脳梗塞を予防 画期的新薬の「うまみ」と「泣きどころ」
大量の汗で体の水分が抜け、血液がドロドロになる夏。最も警戒すべき病気は脳梗塞だろう。
なかでも怖いのは「心原性脳塞栓症」だ。心房細動とよばれる不整脈が引き金となる脳梗塞で、心臓の血流がよどむことで血栓が生まれ、それが脳を直撃する。発症すると半数以上が死亡か寝たきりになる。
最近、これを防ぐ新たな3つの飲み薬が登場し使う人が急増しているが、安全性はどうなのか? 東邦大学佐倉病院循環器科の東丸貴信教授に聞いた。
「そもそも心原性脳塞栓症の予防にはこれまで、血液を固まりにくくする抗凝固剤としてワーファリンが使われてきました。血液が固まって血栓ができるには12種類の血液凝固因子がかかわっています。そのうち4つはビタミンKの補助を得て活性化されます。ワーファリンはこのビタミンKの働きを抑えることで血栓をつくらないようにしたのです」
しかし、服用すると納豆やクロレラ、青汁などのビタミンKが豊富な食品が食べられない、他の薬との相互作用から持病によっては使えない、受診のたびに血液検査が必要などの扱いにくさがあった。