働き盛りのサラリーマンを襲う「慢性疲労症候群」の対処法
「もう会社に出られない」――。原因不明の疲労、体調不良に悩まされるサラリーマンやOLが増えている。それは「慢性疲労症候群(CFS)」かも知れない。厚労省の調査で、日中の大半を寝たきりで過ごす重症患者が3割に上ると分かり、波紋を広げている。
患者数は推計24万~38万人。見逃せないのは、多くが20~40代半ばの働き盛りであることだ。ある日突然、原因不明の激しい疲労感、倦怠感が襲い、その症状が6カ月以上続くケースもあるという。
「最新の研究で、CFS患者は健常者と比べ、脳神経幹部の炎症反応が広く見られることが確認されています。発症メカニズムは明らかになっていませんが、患者の2割が生物学的ストレスによる感染症が原因とみられます。その他、過重労働や騒音などで免疫力が落ちて、ヘルペスなど潜伏ウイルスが活性化し、発症すると考えられています」(CFSに詳しい関西福祉科学大学の倉恒弘彦教授=疲労科学)
ストレスが要因となり、神経系、内分泌系、免疫系に変調を来すわけだ。倉恒教授によると、最も発症率が高いのが25~34歳。次に15~24歳、35~44歳と続く。厄介なのは、MRIなど保険診療の検査では発症が分からないこと。だから、「うつ病や自律神経失調症かも」と“自己判断”してしまったり、家庭や職場では「サボっている」と誤解されがち。発症に気づくまで10年以上かかる人もいるという。サラリーマンはCFSと、どう向き合えばいいのか。倉恒教授が言う。