寝ても抜けない“酒疲れ”は「ビタミンB1不足」に原因あり
「お酒を体内で分解するには、たくさんのビタミンB1が必要になります。その影響で、食事で炭水化物をとっても、ビタミンB1不足で必要なエネルギーを作れなくなり、疲れを感じるというわけです」(林院長)
そもそもビタミンB1は水溶性であるため、ビールなどを飲むと尿と一緒に排出されやすい。しかも、お酒を飲むと消化器の働きが低下してビタミンB1の吸収が悪くなる。つまみをほとんど食べない人はさらに拍車がかかるという。
さらに恐ろしいのはビタミンB1欠乏症が進行すると、認知症と同じような症状を起こすことだ。
「これを『ウェルニッケ脳症』といいます。脳内の神経障害により、まっすぐ歩けなくなったり、眼振が起きたり、物忘れをするようになります。中には本人が意識していないにもかかわらず、作り話をするようになるケースも。見た目は病気と分からないから、人間関係を損なう原因にもなります」(林院長)
むろん、ビタミンが足りないからといって、すぐに発症するわけではない。「眼球の動きがおかしい」程度なら断酒して、ビタミンB1を3~5日ほど投与すれば多くは改善する。しかし、それ以上の症状だと治療が長引くことがある。疲れはビタミン不足が原因のケースがあることも知っておこう。