半身浴は不健康…「正しい入浴」を温泉療法専門医に聞く
気温が上がり、雨の多くなるこの時季は、汗で肌がベタベタするうえ、低気圧の影響による頭痛などで不快感を覚えることが少なくない。そのイライラをお風呂で解消する人も多いはずだ。ただし、「汗をたくさんかいて頭がすっきりするから」と浴室に漫画や本を持ち込み、長々と「半身浴」にひたってはいけない。単に時間のムダというだけでなく、皮膚をダメにしかねない。
■半身浴は全身浴の“半分”の効果
「半身浴は、心臓や呼吸器に問題を抱えている人や高齢者にとっては良い入浴法です。しかし、健康な人は全身浴の方が断然いい」
こう言うのは「たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法」(角川フォレスタ)の著者で、東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授だ。早坂氏は日本では数少ない温泉療法専門医。近年ブームになっている半身浴は決して健康とはいえないという。
「入浴には4つの効果があります。(1)体を温めて血管を広げ、血流を増やす温熱効果。その結果、新陳代謝のアップ、筋肉の張りが解消される(2)浮力によるリラックス効果(3)水圧による下半身の血流改善効果。足元にたまった血液を心臓に戻すことができる(4)毛穴が開くことによる皮膚の清浄効果――です。しかし、みぞおちの下までつかる半身浴は入浴時間が長くなるだけで全身浴の半分の効果しか得られません」