著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

ジェネリック医薬品の効き目は先発品と同じ?

公開日: 更新日:

「後発医薬品」(ジェネリック医薬品)をご存じでしょうか。新規に開発された薬は「先発医薬品」と呼びます。先発医薬品の特許が切れると、他の製薬会社も同じ成分の医薬品を製造販売することができるようになり、これが後発医薬品です。先発医薬品は研究開発に膨大なコストがかかっていますが、後発医薬品は、研究費があまりかからないために安価です。このため、「効き目は同じで安い薬」というような説明がされることもあります。

 しかし、「安かろう悪かろう」ではないですが、後発医薬品は「先発医薬品に比べて効き目が弱そう」と思われる方も多いのではないでしょうか。

 もちろん薬剤の血液中濃度など、先発医薬品とほぼ同じであることが確認されてから承認されるので、基本的には同等と考えてよいと思います。ただ、血中濃度がほぼ同じだとしても、例えば「コレステロールを下げる薬で心臓病を予防できる効果が全く同じか」と言われると、そのような比較データはあまりありません。米国心臓協会誌電子版(2016年4月19日付)に「アトルバスタチンカルシウム水和物」(一般名、コレステロールを下げる薬)の後発医薬品に関する観察研究が報告されました。この研究は心臓病によって入院し、生存、退院した1万5726人(平均76.9歳)を対象とし、退院後の「リピトール」(先発品)投与と「アトルバスタチンの後発品」投与を比較しています。

 その結果、1年以内の死亡または心臓病再発による入院は、先発品群、後発品群ともに17.7%で、同等という結果でした。さらに長期的な影響となると不明な部分もありますが、アトルバスタチンの後発医薬品は、臨床的にも先発医薬品と同等であることが示唆されます。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動