近いほど短命の怪 大阪市は“寿命のブラックホール”なのか
関西、とりわけ京阪神は、自治体間の平均寿命の格差が際立って大きいエリアです。特に男性で、その差は9歳以上にも達しています。宝塚市の平均寿命が最も長く、81・5歳であるのに対し、ワーストワンの大阪市西成区は、わずか72.4歳という中進国並みの数字です(西成区は、日本全体でも男女ともワーストワン)。
京阪神エリアの男性のワースト10位内は、全て大阪市で占められています(11位は神戸市兵庫区)。市内で最長命は天王寺区(79.6歳)ですが、ようやく全国平均(79.6歳)と同じ数字。つまり大阪市の全ての区で、男性の平均寿命は全国平均以下なのです。それだけではありません。エリア全体では、大阪市に近づくにつれて寿命が短くなり、離れるにつれて長くなる傾向が見られます。大阪市はまるで「寿命のブラックホール」のようです。女性でも同様の傾向が見られます。
首都圏では、高層ビルが立ち並ぶ千代田区、中央区、渋谷区など都心が全国平均を上回っています。ところが関西圏では、大都市の中心部に短命の傾向が強く表れているのです。もちろん、経済的な理由が一番でしょう。西成区といえば、日雇い労働者が多いことで知られています。しかも、区民の4人に1人が生活保護受給者といわれています。健康に意識が回らないとしても、仕方がありません。他にも2つの要因が考えられます。一つは工業地帯であること、もう一つは都市の再開発が、首都圏と比べて遅れていることです。