著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

近いほど短命の怪 大阪市は“寿命のブラックホール”なのか

公開日: 更新日:

 関西、とりわけ京阪神は、自治体間の平均寿命の格差が際立って大きいエリアです。特に男性で、その差は9歳以上にも達しています。宝塚市の平均寿命が最も長く、81・5歳であるのに対し、ワーストワンの大阪市西成区は、わずか72.4歳という中進国並みの数字です(西成区は、日本全体でも男女ともワーストワン)。

 京阪神エリアの男性のワースト10位内は、全て大阪市で占められています(11位は神戸市兵庫区)。市内で最長命は天王寺区(79.6歳)ですが、ようやく全国平均(79.6歳)と同じ数字。つまり大阪市の全ての区で、男性の平均寿命は全国平均以下なのです。それだけではありません。エリア全体では、大阪市に近づくにつれて寿命が短くなり、離れるにつれて長くなる傾向が見られます。大阪市はまるで「寿命のブラックホール」のようです。女性でも同様の傾向が見られます。

 首都圏では、高層ビルが立ち並ぶ千代田区、中央区、渋谷区など都心が全国平均を上回っています。ところが関西圏では、大都市の中心部に短命の傾向が強く表れているのです。もちろん、経済的な理由が一番でしょう。西成区といえば、日雇い労働者が多いことで知られています。しかも、区民の4人に1人が生活保護受給者といわれています。健康に意識が回らないとしても、仕方がありません。他にも2つの要因が考えられます。一つは工業地帯であること、もう一つは都市の再開発が、首都圏と比べて遅れていることです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  2. 2

    「負けた」はずの琴桜が「勝った」ウラ事情…疑惑の軍配が大炎上《翔猿がかわいそう》

  3. 3

    大谷が2026年WBCを辞退する可能性…二刀流継続へ「右肘3度目手術」は絶対避けたい深刻事情

  4. 4

    広島先発投手陣に忍び寄る疲労の影…9月は防御率が大幅悪化

  5. 5

    小泉進次郎氏「死ぬまで働け」戦慄の年金プラン “標準モデル”は萩本欽一…なんでそうなるの?

  1. 6

    W杯8強へ森保J「5人の重要人物」 頭痛の種は主将・遠藤航の後継者…所属先でベンチ外危機

  2. 7

    SMAPファン歓喜!デビュー記念のラジオ番組で思い出す「SMAP×SMAP」“伝説の5人旅”と再結成の実現度

  3. 8

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  4. 9

    貴景勝は大関最短復帰が叶わずこのまま「引退」か…親方就任の準備はとっくに万端

  5. 10

    《柳田悠岐 #2》人並み以上のスピードとパワーを兼ね揃えていたがゆえの落とし穴