サルコペニアは心臓を悪化させる
高齢化社会が進む日本では「サルコペニア」が深刻な問題になっています。筋肉の減少による「加齢性体力低下症」とも呼ばれ、加齢によって骨格筋量が減少して筋力が低下し、身体機能も衰えてしまう病態です。
体幹筋肉を使用する運動量が減少することから、歩行速度の低下、握力の低下に至り、筋肉量が減少してしまう悪循環に陥ります。その結果、体を動かしにくくなって転倒リスクが上昇するなど、日常生活が困難になったり、活動量が落ちることで、時として高度な肥満を招き、生活習慣病のリスクがアップしてしまいます。
とりわけ高齢者がサルコペニアになると、筋肉量の減少→活動量の低下→食欲低下→食事摂取量減少による低栄養→さらなる筋肉量の低下や免疫力の低下……という死への悪循環に陥ってしまいがちです。日本では65歳以上の高齢者の5人に1人がサルコペニアともいわれるだけに、深刻な問題なのです。
サルコペニアは心臓にも悪影響を与えます。心臓は筋肉でできているため、サルコペニアの人は心筋の量も低下していくと考えがちですが、これは当てはまりません。心臓は、体中に血液を送り続けるために常に動いている臓器です。安静にしていても最低限の負荷がかかり続けているので、サルコペニアでも心筋が極端に衰えるということはないといえます。