うつ病は心臓にも大きなダメージを与える
また、うつ病はストレスと深い関わりがあるため、うつ病になると自律神経のバランスが崩れて副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンの血中濃度が増加したり、神経伝達物質が増えたりします。いずれも、過剰になると血管や血流に悪影響を与えるので、心臓に負担がかかってしまうのです。
■手術前後の薬の管理が重要
心臓疾患を抱えているうつ病患者さんの手術をするケースももちろんあります。その際は、手術の前後に使う薬のコントロールに細心の注意を払わなければなりません。うつ病の人は、うつ状態からハイな状態に転換したときに、自殺を決行する傾向があります。自殺というのはひとつの症状ですから、薬をしっかりコントロールして、まずはそれをしっかり防ぐ必要があるのです。
うつ病患者さんの心臓手術を行う場合、手術の前に、それまで服用していた向精神薬を中止したり、減らしたり、飲み薬を点滴に変えるなどの準備をします。飲み薬は、口から飲んで消化管で吸収されるため、状況によって血中濃度が不安定になります。しかし、点滴で血液中に直接、薬剤を注射すると、薬の成分の濃度を管理しやすくなるのです。