お金持ちほど健康に 貧富・学歴差が寿命を左右する時代
「多死社会」は今世紀の日本を象徴する社会現象のひとつですが、「健康格差」も深刻化を増しています。健康格差は貧富の差による「心身の不調」や「病気のかかりやすさ」、それらによってもたらされる「平均寿命の差」などを総合した概念です。
英国では、貧富の差による寿命の格差がすでに大きな問題として注目を集めています。たとえば、40~64歳の公務員を対象にした研究では、階級が上がるほど死亡率が下がることが明らかになりました。最下級の事務補助員と上級管理職の死亡率は、実に4倍も違っていたのです。日本人を対象とした研究でも、一般サラリーマンは管理職と比べて、体調不良などが2.6倍も多いとされています。
■お金を使うほど栄養摂取が良好
東京大学が行った研究によると、家計支出の多い世帯ほど栄養摂取が良好だったそうです。支出の多い(裕福な)世帯は、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを含むすべての栄養素をバランスよく豊富に取っているため、支出の少ない(貧しい)世帯よりも健康でいられるというわけです。