マラソンで命落とすことも…ランナーの事故と対策を知る
心筋とは心臓の筋肉のこと。心筋症とは心筋の伸び縮みがうまくできなくなる状態をいう。心臓は全身に血液を送り出すポンプ役で心筋が伸びた状態で血液を受け取り、縮むことで全身に血液を送り出す。心筋症になると血液をスムーズに送り出せなくなる。東邦大学名誉教授で、平成横浜病院総合健診センターの東丸貴信医師がいう。
「心筋症の大半は原因不明の『特発性』で心筋が厚くなる『肥大型』はそのひとつです。そもそも心臓は4つの部屋に分かれていて上の2つは心房と呼ばれ、血液が入ってくる場所で、下の2つは心室と呼ばれ血液を送り出す場所です。全身に血液を送り出す左心室の心筋はとくに厚い。肥大型心筋症のなかでも左心室の出口にあたる左心室中隔がとくに肥大する閉塞性では、心筋が収縮した時に血液の流れが妨げられるため運動した時などに胸痛や息切れがあらわれます」
一方、全周性に肥大化する「非閉塞性」のうち心臓の心尖部がとくに肥大するのが心尖部肥大型心筋症だ。
「この病気は一生何の問題も起こさずに過ごす人が大半ですが、激しい運動による、危険な不整脈などで突然死につながる可能性があるのです」(東丸医師)