見えてきた認知症のメカニズム 悪玉腸内細菌が脳を壊す
ドイツの研究チームが未成熟なミクログリアを持つ無菌のマウスに、通常マウスの腸内細菌叢を注入したところ、成熟したミクログリアになったと報告している。腸内細菌が産出する短鎖脂肪酸がミクログリアを活性化したと考えられている。
実は、腸内細菌叢が脳の神経細胞に影響を与えることはパーキンソン病でも同じだ。
パーキンソン病(PD)は脳の異常によって体の動きが障害される病気。安静時に震えたり、動作が緩慢になったり、筋肉が硬直したりする。その他に臭覚障害、認知機能障害、抑うつ症状、幻視、便秘、起立性低血圧などを合併することが多い。
PDはドーパミンと呼ばれる神経伝達物質を作っている黒質という中脳の一部消失により発症する。その原因は、腸内細菌や炎症などさまざまな環境要因により外界と接している神経や腸管神経叢内のαシヌクレインと呼ばれるタンパク質にある。それが蓄積・塊となってレビー小体へと変化。嗅神経や腸管迷走神経を介して脳内へと伝播していくと考えられている。つまり、脳の病気と思われてきたPDもまた腸など全身の動きに支配されているのだ。