AI医療の進化はロボットによる自動手術も可能にするだろう
iPSに替わる低コストな再生医療が見つかれば、広く普及することでデータが蓄積され、さらなる発展につながります。ですから、コスト要素も加味した新規医療の提案ができるAIは、「発展途上国の携帯電話」を目指すべきなのです。
世界中の発展途上国で貧しい暮らしをしている人は大勢いますが、ほとんどが携帯電話を使っています。最新型のハイスペックなスマートフォンと比べると、安価なタイプで端末の機能は制限され、それを使って得られる情報も限定されています。しかし、それでも便利な機器であるのは間違いなく、利用者の満足度も高いため、爆発的に普及しているのです。
これが、インターネットもできる高精細の大型テレビが欲しいかとなると、あればあったでありがたいが、それほど必要だとは思わないという人も多いでしょう。必要とされる文明機器は、それぞれの社会生活によって異なっているのです。
医療も同じことで、AIを搭載した高性能な手術ロボットを必要としているのは、一部の富裕層です。言ってみれば、より安全でより低侵襲な手術をしたいという“わがまま”を通すための機器なのです。もし、いまある疾患を問答無用に治せばそれでいいという状況ならば、昔からある一般的な手術で十分だという人もいます。