治療をせずに死を急ぐ主人には家族に対する愛はないのか
主婦を務めながら病院に勤務して数年後、カメラマンの主人が「大腸がん」の告知を受けた。
数時間に及ぶ手術を受け、幸い体調を取り戻す。しかし、5年後に再発して「すい臓がん」と「胆管がん」に転移。「余命は3年」と宣告された。
医師から再発の治療法として①手術②抗がん剤③放射線療法の説明を受けた。ところが主人はためらうことなく、第4の治療法を選択する。
第4の治療法は、「なにもしない治療」の選択である。1日でも長生きを願う看護師の玉置さんにとって、主人の治療選択には納得ができない。
夫婦間の口論もあった。しかし、堅物、頑固なご主人は、「残る余生は自分でこれまで撮影した作品の整理に打ち込みたい。入院したら、それができなくなる!」と反発した。それならせめて「抗がん剤」だけでも飲んでほしいと願ったが、「延命治療はもういいから。点滴もいい」と、医薬品の服用さえも拒否した。
玉置さんは、このご主人の説得に折れた。