手術がダメなら…注射でできる椎間板ヘルニアの新治療とは
腰椎椎間板ヘルニアで、飛び出した椎間板ヘルニアが神経を圧迫すると、下肢の痛みやしびれが生じたり、足に力が入りにくくなる。保存療法をやっても痛みやしびれが改善しない場合、「ヘルニコア」という選択肢もある。
千葉大学医学部付属病院整形外科の古矢丈雄医師によれば、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬、ブロック注射、牽引や温熱療法、コルセットなどの保存療法で改善しない場合の一般的な“次の段階”は、手術だ。「切る」手術と内視鏡の手術がある。
「しかし患者さんの中には、手術へ進むのに抵抗がある方もいます。そういった方に提案するような位置付けの治療法が、ヘルニコアです」(古矢医師=以下同)
ヘルニコアは商品名で、一般名はコンドリアーゼ。ヘルニコアに含まれる酵素には、椎間板ヘルニアの中心にある「髄核」の保水成分を分解する作用がある。ヘルニコアを注射で椎間板中心部に適量注入すると、髄核の保水成分が分解され、椎間板ヘルニアが縮小する。結果、神経への圧迫が弱まり、痛みが和らぐ。
「治療はレントゲン透視室で局所麻酔下で行います。現在は1泊入院ですが、安全性の高さが将来的に確認できれば日帰り治療も可能となるでしょう。ヘルニコアは異種タンパク製剤なのでアナフィラキシーショックを起こす可能性がありますが、頻度はそれほど多くないと思われます。投与早期に腰痛や下肢痛が生じる場合がありますが、時間とともに改善することが多いとされています」