新型コロナ<前編>苦しくて人工呼吸器のチューブを噛みちぎり前歯を失った
PCR検査の結果が出たのは4日。「陽性」だった。中田さんは意識が定かではない状態が続いていたため、家族が「陽性」の連絡を受けたという。さらに、血中酸素濃度(正常値99~96%)が98%から90%にまで低下。このままでは命の危険があると、全身麻酔をしたうえで口から人工呼吸器につながれ、6日にコロナ患者を受け入れている病院まで救急搬送された。
昏睡状態の中田さんはそのまま集中治療室(ICU)に入り、10日後の16日まで一進一退の状況が続いたという。
「ICUに入る前から意識がなく、記憶もほとんどありません。後から聞いたところ、麻酔が切れると苦しがって暴れるのでまた麻酔をする……ことの繰り返しだったそうです。意識が戻った時、前歯が1本折れていることに気づきました。口から喉につながれていた人工呼吸器のチューブを、苦しさのあまり無意識に噛みちぎり、歯を折ってしまったんです」
昏睡状態の中田さんはほかにも不思議な体験をしたという。
(後編につづく)