変異種が続々…新型コロナワクチンはどこまで有効なのか?
■「型」が変わるほどの大幅な変異はない
では、各地で変異が報告されている新型コロナウイルスのワクチンはどうなのか。
新型コロナウイルスは、発生から昨年12月までに8種類の系統種に分類されている。初期型のS、L、O、Vから、G変異型のG、GH、GR、GVへ移行し、さらに南アフリカで新たに変異種が確認された。ただ、これらの変異はいずれもウイルスのゲノムの全長の0・1%に満たないわずかな変異で、「型」が異なるほどの大幅な変異ではないという。
米国の研究機関で遺伝子研究に携わってきた岡山大学病院薬剤部の神崎浩孝氏は、「ファイザー社もモデルナ社も『発見されたウイルスの変異は非常に小さいため今回のワクチンで対応できる』と発表しているように、変異種に対してワクチンの効果がなくなることは考えにくい」と続ける。「しかも、今回のワクチンは『mRNAワクチン』と呼ばれるまったく新しいタイプのワクチンで、新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入するときに使うSタンパク質を作る遺伝情報を含む物質を投与して免疫を作る仕組みです。新型コロナウイルスのmRNAの塩基配列が大幅に変異すればワクチンの効果が小さくなる可能性はありますが、遺伝子実験レベルではmRNAの塩基をいくつか変異させることは頻繁に行われていて、その程度ではワクチンの親和性が悪くなるケースは経験上では起こりにくいといえます」