国立感染症研究所がひっそり認めた「空気感染」で対策が大きく変わる?
気になるのは武漢型の新型コロナから変異を繰り返す中で空気感染するようになったのではないか、という疑問だ。
「そうではないでしょう。感染研が参考文献に挙げているのは昨年末のWHOなどが出した感染経路に関する文章。最近、感染が拡大しているオミクロンBA.2が出現する前のものです。しかも、対策として感染研も部屋の換気をしつこく言ってきました。実質的にはエアロゾル感染、空気感染の可能性を認めてきたということでしょう」
とはいえ、空気感染ということになると、感染対策は変わるのではないか。
「現在、日本で空気感染するとされる感染症は、結核、麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)です。医療現場で空気感染の予防の基本は、0.3マイクロメートルの大きさの結核菌や新型コロナウイルスのエアロゾル感染を予防するためN95マスクの使用が常識ですが、0.1マイクロメートルの新型コロナウイルスの空気(飛沫核)感染を予防するにはN95マスク以外の方法が必要です。単にドアや窓を開けた換気をするだけでなく、感染している人の風上に立つ。換気扇やサーキュレーター、扇風機などで空気の流れをつくり、ウイルスを室外に排出、排気することが大切です。マスクをしているとエアロゾルの排出が増え、そのエアロゾルが乾燥してウイルスそのものになることを含めて考えると、『状況によってマスクをしないという選択肢も検討する必要がある』ということへの序章を感染研が打ち出したのかもしれません」