放射線機器がありながら日本はなぜ放射線科医師が少ないのか
たとえば、重粒子線治療ができる施設は世界の半分以上の7施設が日本に集中しています。今年から韓国と台湾でも重粒子線治療がスタートしましたが、治療機器は日本製です。加速器型中性子捕捉療法の世界でも、臨床稼働しているのは江戸川病院を含めて日本で4施設、台湾で1施設となっており、このことからも日本が粒子線治療大国であるかがわかります。
その一方で、放射線治療専門医は1406人であり、放射線診断医のおおよそ5分の1。一番少ないのは宮崎県でわずかに4人となっています(日本放射線腫瘍学会のHPから)。また放射線治療を行っている病院は約850施設あるので、一施設では平均すると放射線治療医は2人弱いることになりますが、大学病院で1、2人では、診療・教育・研究を行っていくことは困難です。なぜ放射線治療専門医は少ないのでしょうか?
最近はかなり分離しましたが、20世紀にはごく一部の大学を除いて診断と治療の教室が分かれておらず、学生教育が診断に偏っていたことが挙げられます。また、せっかく分かれても、今度は教育が人手不足でできないところがあったのです。