認知症の人への対応…ポイントは「否定しない」「怒らない」「感謝する」
認知症の人に「今日は何を食べたい?」と尋ねたとする。あらぬ方向を見つめたまま黙っていたら、「もう何を言ってもダメだね」と思うだろう。
でも認知症の人にすればこうだ。何を食べたいかと聞かれてサンマを想像したが、サンマという言葉が出てこない。どう伝えるか迷っていたら「もういいよ」と言われてしまった、と。
もしもその時、「しっかりしてよ」とか言われたら、認知症の人の心は傷ついたことだろう。「しっかりしろと言われても、できないことはできない」のだから。
それだけならいいが、そんな言葉が繰り返されたら、認知症の人は暴力や徘徊で抗議することもある。原因は記憶障害にあるのだから、それを正そうとしても無理なのだ──と気づいた方がいる。そして無意識に、認知症の人にこう対応した。
「否定しない」
「怒らない」
「感謝する」
この3つを徹底したのが幸次さんだ。認知症になったのは妻の政子さんである。誰かに教えてもらったわけではなく、自然にそんな行動を取っていたという。