「意思決定」は正当化しやすい理由があるか否かに左右される
人間はやらないことに対して、言い訳をする天才です。著名な行動経済学者であり、プリンストン大学のシャフィールは、人間は何かを選択する際、単純に効用を最大化するために選ぶのではなく、“自分の選択を正当化できる理由”を探しながら意思決定を行うと唱えています。
例えば、「休日に何もせずにゴロゴロしてしまう」という選択は、「ゴロゴロした方が体を休めることができる」といった自らを正当化できる理由を見つけ、当人はその判断を下したと考えるというのです。ゴロゴロする言い訳をしているだけとも受け取れますが、人間の意思決定とは身勝手なものなのです。
シャフィールは意思決定に関するさまざまな実験を行っているのですが、1992年、消費者がリピート購入(同じ選択を続けること)とスイッチング(新しい選択肢に切り替えること)において、「後悔」をどのように経験するかを調べています。
被験者である消費者に、いくつかの実験を行い、スイッチングがリピート購入よりも後悔を引き起こすかを調べたところ、ネガティブな結果が生じたときは、その後悔が高くなることが分かりました。人間は「現状維持」を好み、よほどの理由がない限り、新しい選択肢を選ばないということが示唆されたのです。