「意思決定」は正当化しやすい理由があるか否かに左右される
シャフィールは、強い理由がある場合と理由が乏しい場合における意思決定も比較しました。強い理由がある場合はリピート購入が後悔を引き起こすことは少ない──。すなわち、自分を正当化できる理由がある以上、現状維持を選択するという意思決定は、鉄のように固いことが分かりました。
裏を返せば、人間は自分を正当化できるか否かで、「選ぶ」と「除外する」を選んでいるとも言えます。自分を正当化できる理由を選んでしまうわけですから、2つの選択肢だけでは、なかなか自分の行動を変えることが難しいともいえます。
シャフィールも、選択肢は3つあることが望ましいと述べているほどです。もちろん、3つ以上でも構わないのですが、増えすぎるとかえって選べなくなってしまいます。
また「3」という数は、人間の認知能力に適した数であり、過度の認知負荷を避けつつ、十分な選択の余地を残すともいわれています。「松竹梅の法則」といわれる通り、3つの選択肢を提示すると、人間は極端な選択肢を避け、中間的な選択肢を選ぶ傾向があります。1000円、1700円、2500円の海鮮丼があるとき、1700円の商品を選んでしまうのは、先述した自分の選択を正当化しやすい(値段もさほど張らず、それなりに満足できそう)からともいえます。