台所にあった小さな絵が29億円で落札…そしてルーブルの国宝に! 嘘のような本当の話
4年ほど前、フランスで90歳の女性の家の台所に無造作にかけられていた絵が、実は近代美術の祖とされるイタリアの画家、チマブーエの作品「嘲笑されるキリスト」であることが判明。フランス政府が「国宝」に指定し、先日、ルーブル美術館が正式に入手したと発表した。
作品は、キリストが十字架で処刑される前に兵士たちからいばらの冠をかぶせられ嘲笑される場面を描いたもの。1280年ごろ制作されたキリストの受難を描いた8枚の連作の一つだという。
北部コンピエーニュに住んでいた女性が転居する際に、息子が母親の財産の鑑定を専門家に依頼したことがきっかけで、縦26センチ、横20センチの小さな古い絵が、実はチマブーエの作品だと判明した。
作品は2019年10月に競売に掛けられ、なんと2420万ユーロ(当時のレートで約29億円)で落札!
しかしその後、フランス政府が介入して作品を「国宝」に指定して国外持ち出しを禁止。30カ月間、フランス国内に保管されることになり、その間、政府は購入資金を集め、最終的にルーブル美術館の正式コレクションになったと発表された。資金集めの方法や購入額は明らかにされていない。
「嘲笑されるキリスト」は現在、修復作業が行われており、25年春に同じくチマブーエの「荘厳の聖母」とともに一般公開される予定だ。