「食欲がない」「痩せてきた」高齢者の栄養不足…病気になる前に食生活の“再点検”が必須なワケ

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 人生100年時代に突入して、1人の人が生涯に「食べる」回数は人生50年、80年時代に比べて数万回増えました。その人生の終盤には栄養が足らない状態に気をつける必要があります。高齢者栄養ケアの第一人者が長生きする食べ方を解説した『100年栄養』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。

◼️食生活を点検・改善したい3つのタイミング

 食生活を見直すのは、いつ始めてもよいことです。とはいえ「きっかけ」があったほうが取り組みやすいかもしれませんね。運動を始めることや、生活環境の変化、あるいは、病気になるのも、食生活を変えるきっかけになります。自分のこれまでの食生活を振り返り、点検し、改善しようとする人はとても多いです。

 病気になった原因を「食生活」と考え、治療がすこしでもうまくいくように、自分ができることをしたいと思う人が多いのです。しかしできれば「病気になる前」に、小さな変化に気づき、より健康になるきっかけとして「食べる」を見直していただきたい。ぜひ、次のタイミングがあったら、食生活を点検し、改善する工夫をしましょう。

【痩せてきた】
 1週間で2%、1カ月で5%、3カ月で7.5%、6カ月で10%以上の体重減少があったら、自力で「たくさん食べて太ろう」とするのではなく、医療を受け、「痩せてきただけ」かを確かめて、治療として栄養指導を受けましょう。

 1週間で2%、1カ月で5%、半年で10%というのは、50㎏の人の場合、1週間で1㎏、1カ月で2.5㎏、半年で5㎏減ということです。もう少しスローペースで体重に変化があるなら、次のような原因がないか考えて、まず原因に対処を(対処法は→以下)。その上で、食生活を見直す工夫をできそうなことから試し、しっかり食べていきましょう。

・食べたいが、適量が食べられない
→ 食事の回数を増やす、間食をとる

・息切れや息苦しさを感じる
→ 食事前、食事中にも休憩する、食器を軽くする

・夜間によく眠れない
→ 生活習慣を見直し、昼寝をしない、散歩に出かける

・病気の治療中で、代謝に変化が起きている
→ 好きなタイミングで食事できるよう、簡便な食事(たまごや缶詰・おつまみなど)を準備する

・見えづらく、調理や食べる気がしない
→ 無地の器に盛る、香りを活かし旬の食材を使う

・嚙む・飲み込むなどがうまくできない、むせる
→ 「摂食嚥下障害」の診察を受ける

・義歯が合っていない
→ 歯科で相談

・硬いものが食べられない
→ ペースト状にしたり形状を工夫する、歯科で相談

・食べ物の調達や食事の用意、片付けができなくなった
→ 使える調理機器を見直す、総菜のアレンジ方法を工夫する、レトルト食品を利用する

【食欲がない】
 以下のような点が原因と思うなら受診し、原因を確かめて、治療として食事指導を受けましょう(対処法は→以下)。

・腹部膨満感が続いている
→ 内科を受診

・便秘が続いている
→ 内科を受診

・病気の治療中で、代謝に変化が起きている
→ 主治医に相談

・嗅覚、味覚が変わって食べられない
→ 内科または耳鼻咽喉科を受診

・嚙む、飲み込むなどがうまくできない、むせる
→ 「摂食嚥下障害」の診察を受ける

・硬いものが食べられない
→ 歯科で相談

・義歯が合っていない
→ 歯科で相談

・口内炎など口の中のトラブルが続いて食べられない
→ 口腔外科または内科を受診

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