「食欲がない」「痩せてきた」高齢者の栄養不足…病気になる前に食生活の“再点検”が必須なワケ
【太ってきた】
BMIを計測することを日課にします。BMIとは肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められます(身長はcmではなくmで計算します)。
BMIが25以上で糖尿病や高血圧、脂質異常などの健康障害があるときには、管理栄養士と一緒に目標を決めて体重減少をめざしましょう。BMIが30以上は肥満です。肥満は死亡原因としての順位も高く、認知症の発症とも関連します。専門家の伴走でまず原因に対処します(対処法は→以下)。
・ごはん、パン、麺、餅など炭水化物ばかり食べている
→ 栄養バランスを改善する
・間食、清涼飲料水が多い
→ 甘いものを控え、栄養バランスを改善する
・嚙む、飲み込むなどがうまくできない、むせる
→ 「摂食嚥下障害」の診察を受ける
・硬いものが食べられない
→ 「食形態」を工夫する、歯科で相談
・義歯が合っていない
→ 歯科で相談
・便秘が続いている
→ 内科を受診
・足腰が痛くて、活動できない
→ 整形外科を受診
・病気の治療中で、代謝に変化が起きている
→ 主治医に相談
・買い物や調理の経験がなく、適量がわからない
→ 管理栄養士、ケアマネジャーに相談
・経済的な問題で食生活を変えられない
→ 福祉・介護の支援を検討
・食生活に独自のこだわりがあり、変えられない
→ 管理栄養士に相談
・食べたことを忘れてしまう
→ 軽度認知障害(MCI)や認知症の診察を受ける
▽川口美喜子(医学博士 大妻女子大学家政学部教授 管理栄養士) 専門は「病態栄養学」「がん病態栄養」「スポーツ栄養」。島根大学医学部附属病院で栄養管理室長を務め、NST(栄養サポートチーム)を立ち上げるなど、“食事をとおした治療”に積極的に参加。現在は、大学で後進を育てながら、地域医療のパイオニアである「暮らしの保健室」(東京都新宿区・江戸川区)や、がん患者とその家族が訪れるマギーズ東京(東京・豊洲)などにて、栄養指導、栄養ケアを行う。病気や日々の暮らしに問題を抱える多くの人のために、卓越した栄養学の知識を具体的な食事に落とし込んで支援している。著書に『老後と介護を劇的に変える食事術』(晶文社)など。