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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(18)苦労から学んだのは、お客に対して素直に「教えてください」と言えるメンタリティー

公開日: 更新日:

 タクシードライバーになり始めの頃、もっとも神経を使ったのが大都会・東京の走り方だった。埼玉県の田舎町で生まれ育ち、大学生時代も埼玉県、卒業後に手伝い始めた父親の会社も同じ田舎町だった。だから、タクシードライバーになったとき運転免許を取得して30年以上経過していたものの、東京都内の片側3車線、4車線の道路や混雑した道路で流れに乗りながらほかのクルマを追い越したり、スムーズに車線変更したりする運転技術は持ち合わせていなかった。

 とりわけ苦労したのが首都高速道路への入り方や走り方だ。ご存じの方も多いだろうが、都心部で網の目のように張り巡らされた首都高速道路は随所に分岐点があり、いったんコースを間違えてしまうと、目的地に到着するために都心部を逆回りにほぼ1周することになりかねない。その分、料金メーターは上がっていくが、それをお客に請求するわけにはいかない。ドライブを楽しんでいるわけではないのだから、30分で行ける場所に1時間近くも付き合わされるお客にとっては迷惑以外の何ものでもない。

 なりたての頃は本当に苦労した。標識を頼りにクルマを走らせるが、東京で暮らしていればおおよそ土地勘があるのだろうが、こちらは埼玉の田舎育ち。渋谷、新宿、目黒、天現寺、霞が関、用賀、永福などという文字が出てきても、どれが正しい方向なのか瞬時にはピンとこない。幸い、大きなミスはしなかったが、はじめの頃は首都高速道路に入ると思わずハンドルを握る手に力が入ったものだ。

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