橋本「翁屋」で日本酒を一本一本、丁寧に説明してくれた店主と意気投合
創業して50年ほど
そこへ親方がすーっと寄ってきて、「どんな感じがいいの?」。ここぞとばかり一本一本、丁寧に説明してくれる。アタシは奥に隠れていた而今の朝日(1200円)を見つけ、「これがいいかな」。親方は「うん、これはうまいよ。ちょっと甘いけど」。こんなやりとりをするうちに、すっかり意気投合。酒飲みは酒飲みの気持ちがわかるというもの。最初入ったときの黒縁眼鏡の奥からぎょろりと睨まれたのとは全く違う優しい目でいろいろと話してくれた。
翁屋は、この界隈で創業して50年ほど。ご兄弟で切り盛りしていたが、お兄さんが亡くなり、今では70歳になる現店主お1人。カウンター上の品書きに目をやれば、酒好き、とりわけ日本酒好きが涎をたらしそうな肴がズラリ。天ぷら、刺し身、煮物、焼き物が並ぶ。これを1人でさばくのは並大抵のことではない。感心しつつ頼んだ肴は、秋鮭の白子の天ぷら(600円=写真)、鯨ベーコン(600円)、鮟鱇の天ぷら(700円)などなど。「親方! うまいね」。親方は包丁を握る手を止めて「ありがとうございます。励みになりますよ!」。すっかり上機嫌で飲み食いしていると、「自家製厚揚げだけど、どう?」。親方がふるまってくれた厚揚げがこれまた絶品。サクサクふわふわ。ここで焼酎に切り替える。親方オススメのライチ風味の芋焼酎だいやめのソーダ割り(600円)。酒で甘くなった口を洗ってくれる爽やかな風味。おっと、もうこんな時間だ。ここは橋本。後ろ髪を引かれつつ店を後にしたのでした。親方、ごちそうさま!
(藤井優)
○翁屋 相模原市緑区橋本3-29-16