「この集落はなくなります」地震と豪雨で壊滅状態、80代元住民が嘆く厳しすぎる現状
輪島市の中心地から西に1キロの距離にある七見川沿いの集落。ここもまた、住民の帰還が困難な地域だ。9月の豪雨災害で、山の中腹にある家屋はほぼ全て、増水した川の激流に漬かった。比較的被害の少なかった自宅でかろうじて生活を続ける50代男性は、胸の内をこう明かす。
「正月に被災して6月になんとか戻ってこられたのに、元の状態に逆戻り。集落のみんなはまだ避難所生活だし、今もどん底で気持ちの整理さえついていないはずです」
■人が死ななきゃ記事にならない
土砂災害で流されてきたがれきは、いまだに撤去されていない。
「上流の集落に住んでいたおばあちゃんの家は土砂にのみ込まれ、柱一本残らなかった。数年前に亡くなった娘さんの位牌も流されてしまったようで、おばあちゃんはよくここに来ては、遺品を捜している(写真)。この前、がれきの中から娘さんが着けていた腕時計を見つけたって。でも、ずっと捜し続けて出てきたのはそれだけ」
苦しい実情をせきを切ったように話し出した男性は、最後にこう訴えるのだった。