ウェルビーイングな社会と生き方…資本主義の限界が露呈する時代こそ「幸せ」考えるべき
政治、企業経営から芸能まで日本社会の悪弊が露呈し、経済面では格差が拡大。人々の価値観が大きく揺らいでいる。そんな時代にあって幸福度が改めて注目されている。ウェルビーイング研究の第一人者、慶応大学大学院教授の前野隆司氏を直撃した。
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──社会の激変で価値観が揺らぐ中、ウェルビーイング、幸福度の追求が注目されています。
前野 経済の面から見ると、貧困は幸福度を下げるんですけど、大金持ちになっても実はそんなに幸せにはならない。格差が拡大すると多数の不幸せな人と、それほど幸せじゃないのに富を独占する人がいる状況が生じます。それが原因で紛争や戦争などいろんなことが起きるわけですから、現代社会ははっきり言って不幸な時代、資本主義の限界がきていると思います。
そうした中で、心の幸せの研究が進んできました。分かりやすい例で言うと、孤独であるよりも人と話をして励まし合った方が幸せなわけです。昔の村社会は、みんな長屋に住んでいて貧しいけど励まし合い、そこに幸せがあった。現代は、核家族化が進み、終身雇用は崩壊し、個人が責任を負うという不幸な状況になっている。だからこそ、経済制度と心の面を含めて幸せということを考えなければいけない時代なんですね。