攻めの姿勢を崩さぬ高島屋「従業員ファースト」を貫く理由
とはいっても、労使関係がいくら良好でも、新型コロナ時代の難局を乗り切れる保証はどこにもない。
「今月初旬からお中元商戦が各店舗でスタートし、まずまずの出足。問題はインバウンドがいつ戻るかですが、こればかりは我々の工夫だけではどうにもならず、頭が痛いところ」(前出の中堅社員)
5月のインバウンド売上高は前年比98・7%減。完全に壊滅状態だが、海外から客が来られないのでは、なす術がない。
「直接、インバウンドに結びつく話ではありませんが、海外の拠点は一時の危機的状況から脱しつつあります」(前出の中堅社員)
上海高島屋がいち早く再開したのに続き、1年半前にオープンしたタイ・バンコクのサイアム高島屋も通常営業に戻っている。バンコクでは伊勢丹がこの8月に撤退。リストラを繰り返す三越伊勢丹と対照的に、高島屋の積極策が目立つ。
「スーパー以外は休業しているシンガポール高島屋はまだメドが立っていませんが、現地政府から固定資産税を免除されることが決まっている。全館休業していたベトナムのホーチミン高島屋はすでに通常営業に戻っています」(前出の中堅社員)
これだけ一気に攻めてしまうと、反動も怖い。クラスターにならないことを祈るばかりだ。