安成工務店 安成信次社長(1)「公共事業」依存から一転 環境共生住宅の旗手に
山口県と福岡県を中心に、地域の木や職人の技を生かした人と環境に優しい「環境共生住宅」を年間約100棟施工する安成工務店。地方の工務店でありながら、独自に新聞紙を主原料とした断熱材「デコスファイバー」を開発したり、住宅建設時のCO2排出量を算出したりと、その先進的な取り組みが注目されている。本社は山口県下関市。昨年、創業70周年を迎えた。
グループ全13社の年商は合計200億円に迫り、個人の住宅だけでなく、病院やビル、商業開発まで幅広く手掛けている。
率いるのは安成信次社長。先代の長男として生まれ、大手建設会社を経て1981年に安成工務店に入社。1988年に先代の急逝に伴い社長に就任した。
「もともとは親父が終戦時に焼け野原の下関を見て“これからは家がたくさん必要になる”と、大工の見習いになったのが始まり。1951年に大工として独り立ちしたのですが、私が入社したころは、地元の豊北町(現在は下関市に吸収合併)の公共工事で食べている会社でした。30年経って、大工の本分を忘れてしまったという感じです」