疑獄事件と株価の関係は…自民派閥パーティー裏金事件でも今年の最高値うかがう状況
連日、自民党派閥のパーティー券裏金事件が騒がれている。「令和のリクルート事件」なんていわれ、追い込まれる岸田首相の支持率は急落の一途。政権の大危機である。
こうなると、政治の不安定を嫌う株価も急落しておかしくないのだが、どうしたことか、日経平均は再び3万3000円台に戻り、今年の最高値をうかがう状況だ。
政界の疑獄事件と株価は関係ないのだろうか。
結論からいえば、あまり影響はない。1988年に発覚したリクルート事件では翌年に竹下内閣総辞職、参院選で自民大惨敗だったが、ご存じのように株はバブル相場を続け、89年末には3万8915円の史上最高値を記録したものだ。
92年から93年にかけて東京佐川急便事件や金丸脱税事件が起きた時も、株価は1年半で1割程度下落したにすぎない。宮沢自民党政権が下野し、非自民の細川政権ができるという55年体制の崩壊、政治の大混乱期だったが、株価は暴落しなかった。
なぜなのか? 「外国人投資家が狼狽(ろうばい)しないから」という見方もある。ではアメリカではどうなのか。疑獄事件といえば「ウォーターゲート事件」が代表的。あの時はニクソン大統領が任期途中で辞任に追い込まれ、株価は45%も大幅下落している。ただし、その大きな原因はニクソンの不正行為よりも、ニクソン・ショックによる通貨制度の混乱と、それに続く中東戦争やオイルショックが影響したと分析されているのだ。