ドラッグストア最大手「ウエルシア」社長が不倫報道で辞任…松本忠久氏の叩き上げ人生と経営手腕
一大決心で「いいの」へ転職、それを機にトップの座に
松本氏は長野県佐久市出身で、実家は薬局を経営。高卒後、北陸大薬学部に進学し、家業を継ぐため、薬剤師の資格を取得した。
大卒後、修業をかねてドラッグストアチェーン「サンドラッグ」に入社。そんな松本氏に転機が訪れたのは社会人8年目。新興ドラッグストア「いいの」に転職したのだ。
松本氏は昨年3月、「日経産業新聞」で、「いいの」への入社が「自分でした唯一で最後のキャリアの決断」だったと話している。ウエルシアの前身は16年ほど前、売上高400億円程度の「ウエルシア関東」(埼玉)という中堅ローカルチェーンに過ぎなかった。そんなウエルシア関東が06年、最初に買収したのが、松本氏が所属する「いいの」だった。
「ウエルシアは『いいの』を皮切りに、これまで20社以上の同業者を吸収合併、買収してきた。コクミンを手に入れたことで郊外店だけでなく、都市部にも店舗を構えることができた。ウエルシアがM&Aによる規模拡大と同様、力を入れているのがPB開発です。イオンの低価格PB商品『トップバリュ』に加え、オリジナルのPB食品や日用品を開発し、売上高1兆円に貢献。これをステップにしてアジア市場で3兆円の売り上げをもくろんでいる。業界2位で、イオンが出資するツルハホールディングスとの経営統合の協議を進めているのも、アジアナンバーワンを狙っているからです」(業界関係者)
松本氏は週刊新潮の取材に対し、「今は欲望がなくなって。泊まることは泊まりますが、何もないんです。誰も信じてくれないと思いますが」と言い訳していたが、それでも「アウト」だ。
一大決心で転職したのをきっかけに、トップの座を射止めた叩き上げ社長が、思わぬ形で足をすくわれることになった。