円安地獄でステーキ店の倒産が過去最多…安くて美味い牛肉が食べられる時代は終わった
手頃な値段で、お肉をお腹いっぱい――なんて過去の話になるのは近い。
帝国データバンクによると、昨年度に判明したステーキ店の倒産は10件で、前年度の5倍にのぼり過去最多となった。背景には、輸入牛肉の仕入れ価格上昇と、円安の影響がある。
米国では、ウクライナ紛争や異常気象の影響で家畜用飼料が高騰し、牛肉の生産コストが急騰。米国産牛肉の輸入価格は5年間で約1.4倍になり、米国産より安価な豪州産も、1.3倍に上昇した。
追い打ちをかけるのが円安だ。歴史的な円安水準により、今後も輸入や輸送コストがステーキ店の経営を圧迫していくのは必至だ。
そのため、ステーキ店では値上げが相次ぐ。全国チェーンの「いきなり!ステーキ」は、4月から主力商品の「ワイルドステーキ」を150円アップ。1390円になった。
これだけ輸入牛肉が高騰すれば、他の飲食店も影響から逃れられない。帝国データバンク情報統括部の飯島大介氏はこう分析する。
「いくつかの牛肉を扱う店で、すでに影響が出ています。例えば牛丼チェーンはここ数年、値上げを繰り返しており、牛丼1杯を280円で食べられたのも遠い昔。今後も低価格路線を維持するには豚丼など、より低価格な商品にシフトしていかざるを得ません。また、ハンバーガーチェーンも100%ビーフパティをウリにしている企業が多いため、頭を抱えています。すでにマクドナルドが値上げに踏み切っているように、今後影響が拡大する可能性があります」