著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

船井電機の先行きは不透明に…株式は仮差し押さえ、上田智一社長が不可解な辞任

公開日: 更新日:

 だが、2010年代以降、中国・台湾メーカーとの競争が激化し、フナイの激安テレビデオをもってしても利益を上げられなくなった。さらに16年にフィリップスの家電事業買収が破談となり、175億円の違約金を支払うことになった。船井電機は特別損失を計上するなど2年続けて赤字に転落。3年間に社長が3度代わるなど、経営が混乱した。

 その混乱のただ中の17年7月、創業者の哲良氏が死去。相続した長男の船井哲雄氏(医師、旭川十条病院院長)は、船井電機顧問の板東浩二氏(元NTTぷらら社長)の仲介により、出版会社、秀和システムグループ代表の上田智一氏に経営を託した。上田氏は21年5月に船井電機をTOB(株式公開買い付け)で買収し非上場化、同年7月に船井電機の社長に就いた。

 船井電機を買収した上田氏は、業績が悪化していたテレビ事業からの脱却を掲げ、23年4月、脱毛サロン「ミュゼ」を展開するミュゼプラチナムを買収。美容事業を新たな柱に据えた。

 船井電機のつまずきは、このミュゼ買収に始まる。上田氏は買収したミュゼを1年弱後の24年3月に売却している。「実はミュゼプラチナムはネット広告会社に対して多額の負債を抱え、船井電機がこれに連帯保証をしていた。この債務の返済が進まず、ネット広告会社が東京地裁に対し、船井HDが所有する船井電機の株式の仮差し押さえを申し立てていた」(大手信用情報機関)というのだ。

 船井電機は突然のトップ辞任に、「現在、新たな経営体制がスタートし、経営計画を策定していく段階にある。計画は早期に公表したい」としているが、先行きは不透明だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  2. 2

    ジャンポケ斉藤慎二 ロケ車内での性的行為には“常習説”…吉本契約解除は「トカゲの尻尾切り」

  3. 3

    阪神フロントすでに来季組閣に着手 藤川次期監督の「右腕」ヘッドコーチ候補5人の名前

  4. 4

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  5. 5

    裁判長期化の松本人志は復帰してもお笑いの道は難しい さんまタイプで、タモリとは違うスタイル

  1. 6

    日本ハム優良2助っ人が流出危機…新庄監督まさかの「公開残留要請」、オリ&西武が調査か

  2. 7

    巨人・岡本和真「メジャー断念」に現実味…“元エースと4番”の同時流出はあり得ない?

  3. 8

    谷原章介長男「ジュノンボーイ」グランプリに期待 語られなかった実の父は「死ぬまで俳優」宣言

  4. 9

    エロオイルマッサージで女性客6人が被害訴え…おっさんセラピストのヘタくそな言い訳

  5. 10

    開店半年で会員200人…摘発された錦糸町のハプバー「人気の秘密と集客の手口」