「日本電解」経営破綻が波紋…上場企業では今年初、再建の道筋いまだ見えず
ユニチカの私的整理と祖業である繊維事業からの撤退が大々的に報じられる傍ら、エレクトロニクス業界や非鉄金属業界関係者らの間ではもう一つの経営破綻劇が少なからぬ波紋を広げていた。日本電解──だ。
東証グロース市場上場の電解銅箔専業メーカーで、先週27日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。事実上、倒産した。上場企業の倒産は昨年12月の衣料品卸、プロルート丸光(東証スタンダード)による会社更生法適用申請以来。今年に入ってからは初めてで、負債総額は約147.61億円。今月28日で上場廃止になる予定だ。
日本電解は日立製作所や住友ベークライトなど3社が1958年に共同出資で設立した企業が母体。
その後2019年、三井物産、三井住友銀行と政府系の日本政策投資銀行が組成したファンドに買収され、21年6月に東証マザーズ(現グロース)に上場した。
手掛けている電解銅箔は硫酸銅を主成分とする電解液を電気分解し、金属銅を薄膜状に析出生成させてつくる。電子機器を制御する電気信号を伝える回路基板の導体はほとんどが電解銅箔で形成されており、エレクトロニクス製品には「不可欠な重要部材」(日立グループ関係者)だ。