「日本電解」経営破綻が波紋…上場企業では今年初、再建の道筋いまだ見えず
■三井住友銀から20億円のつなぎ融資
日本電解の製品は高品質で耐久性に優れていることで知られ、最近ではEV(電気自動車)など車載用リチウムイオン電池の負極材料としての利用にも期待が高まっていた。が、「EV変調」でこれがつまずく。需要が想定を大きく割り込み、20年買収した米国工場の稼働率が低迷。加えて「事業を牽引してきた」(事情通)とされるスマートフォン向けの減退や銅価高騰によるコスト上昇なども追い打ちをかけた。
22年3月期に205億円あった連結売上高は23年3月期には170億円に縮小して19億円の最終赤字に転落。今年上半期(4~9月)には米国工場の減損を余儀なくされ、最終赤字幅は50億円超にまで膨張、債務超過が避けられない状態に陥った。
同社では三井住友銀から20億円のつなぎ融資を受けて事業を継続しつつ、再建に向けて今後、スポンサー探しを進める。業界内では日立系への“先祖返り”や大手電子部品メーカー、国内外の投資ファンドなどの名前が「白馬の騎士」として取り沙汰されているが、道筋はまだ見えていない。