世界で1100万部突破!空前の大ヒット書籍『嫌われる勇気』が人の心をつかんだワケ
「承認欲求」を追い求めすぎている人たちへ向けた言葉
それは、アドラー心理学の理論的支柱の一つである「承認欲求」に関する「常識」です。『嫌われる勇気』が出版されたのは2013年ですが、ちょうどSNSという新しいメディアが世の中で一般化されはじめ、多くの人々が今までよりも「承認欲求」ということを意識し、メディアでも指摘され始めた頃です。
そして、おそらくこの本の著者たちが気づいたのは、「承認欲求」を追い求めるあまり、「人に認めてほしいがために、嫌われることを気にしすぎている傾向が、近年特に強くなっているのではないか?」という「気づき」だったのかもしれません。つまり、次のように考えて『嫌われる勇気』というタイトルを考えたのではないかと想像できます。
◼️心の奥底で思っている「インサイト」を突く
みんな/世の中は、
「幸せに生きるためには、誰からも『嫌われない』ことが大切だ」
と思っているかもしれないが、
実は/本当は、
「幸せに生きるために、嫌われることを恐れず自分の意見を伝える勇気を持ちたい」
と自分は思う。
「人に好かれることにこだわりすぎると、人の期待に応えようとして他人に振り回されることが増え、人間関係のストレスや悩みを抱えやすい。アドラー心理学の考え方を学んで、『嫌われる勇気』を持てれば、他人の言動に左右されることなく、自分の人生を自分らしく歩むことができる」という、アドラー心理学の要点を「逆説的」に伝える意図があったのかもしれません。アドラー心理学と言っても興味を持たない人を振り向かせるために、みんなが心の奥底で思っている「インサイト」を、非常にうまく突いています。