農林中金に突きつけられた組織改革…25年3月期の最終赤字は1兆5000億円超か
「農林中金という名前に恥ずべきようなことだと思っている。検証内容を尊重させていただき、農林中金に対してしっかり指導していきたい」
1月28日、農水省の有識者会議の報告書を受け取った江藤拓大臣はこう語気を強めた。同会議は、農林中金が証券運用で巨額な損失を発生させた問題を巡り、その原因と再発防止策について、昨年秋から検討を進めてきた。江藤農相の「農林中金という名前に恥ずべきようなこと」発言は、あまりに重い。
農林中金は米欧の金利上昇で外国債券の含み損が発生し、2025年3月期に1兆5000億円超の最終赤字になる見通しだ。会議では農林中金がメガバンクなど他の金融機関と比べ、なぜ多額の損失を計上するに至ったのか、リスク管理や意思決定のプロセスに焦点を当て、4回にわたり議論してきた。
報告書では、まず外債の評価損が膨らみ続けたことを受け、迅速な意思決定ができる組織を構築するよう提案。一般企業の取締役会に当たる理事会に外部の有識者が非常勤の外部理事として参加できるようにするため農林中金法の見直しなどを提言したほか、組織全体で専門性の高い外部の見識を導入することなどを検討するよう促している。農林中金には「兼職制限」があり、外部から非常勤理事を採用することができないため、現在7人の理事はいずれも農林中金からの内部昇格となっている。