著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

和平主義者・吉田茂を徹底的に監視した東條英機首相のやり口

公開日: 更新日:
第77回臨時議会開院式当日、国会玄関前で記念撮影に納まる東條英機首相と内閣の閣僚たち(1941=昭和16=年11月16日)/(C)共同通信社

 近衛上奏文の内容は、実は陸軍側に漏れていた。近衛が、天皇に会う前日に、吉田の自宅(東京・永田町。他に大磯に別邸があり、所用がない時は大磯で過ごした)を変装姿で夜に訪ねている。2人とも陸軍の憲兵隊から和平主義者として尾行がついていたからだ。近衛上奏文は、近衛、吉田、それに天皇、天…

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