下村文科相がリークした「長嶋・松井」国民栄誉賞スクープ
「俺の名前は出すなよ」
その時、下村博文文科相はきつく念を押した。
今年のプロ野球界の最大のサプライズだったのが長嶋茂雄、松井秀喜両氏の国民栄誉賞同時受賞。驚きに輪をかけたのが、これをスクープしたのが全国紙でもスポーツ紙でも通信社でもなく、群馬県の地方紙「上毛新聞」だったことだ。
4月1日朝刊のスクープの1週間ほど前だ。都内の実業家の自宅に長嶋茂雄氏と下村文科相が食事に招かれた。その実業家は長嶋氏の後援者でもあった。ところがその席になぜかもうひとり、見知らぬ人物がいた。上毛新聞の幹部だ。下村文科相が連れてきたのだった。
スポーツ界からの国民栄誉賞受賞となれば文科省の担当。文科相は当然のことながら知っていた。ある意味、この食事会は受賞のお祝いもかねていた。
食事会の話題は当然のことながら国民栄誉賞受賞になった。それを聞いた新聞社幹部は記事にすることの許可を求めた。冒頭の発言はその時の下村文科相の言葉だ。下村文科相は幹部を連れてくることで、スクープを抜かせようとしたのである。
政府が2人の国民栄誉賞受賞を発表したのは1日の午後だった。
ちなみに下村文科相は群馬県出身である。