団体SP出場は裏目…浅田真央にメンタルとアウェーの壁
浅田の一連の発言を聞いたある指導者はこんな疑問を持っている。
「我々は技術や戦略のアドバイスはできても、メンタル面については素人。本番で実力を発揮するには心のトレーニングも欠かせない。例えば、五輪のような大舞台で緊張を抑える呼吸法や難しい技の成功シーンをイメージして実戦につなげるなど、数々の方法がある。浅田真央は姉(舞)がよき相談相手だということは知っているが、メンタルの先生がついているという話は聞いたことがない。もしメンタルの先生がいるのなら指導力に問題があるのではないか」
佐藤信夫コーチがいくらスケーティング技術を教えても、五輪の舞台で過度に緊張すれば普段の演技はできない。競技を問わず、トップアスリートがメンタルトレーナーに指導を受けるのは今やスポーツ界の常識だ。
■15歳リプニツカヤの活躍
「真央にとって団体競技の経験は大きなマイナスになる」との声もある。
現地記者が言う。
「真央の前に滑ったのは地元のリプニツカヤ。まだ15歳とはいえ完璧に近い演技で割れんばかりの大歓声と『ロシア! ロシア!』の大合唱。その興奮が冷めないうちにリンクに出てくると、すでに真央の表情はこわばっていた。これは大きなミスをするなと心配していたら、練習で調子のよかったトリプルアクセルでやってしまった。本人も『気持ちをいつもの状態にもっていけないままスタートした』と語っていたが、あのような異様な雰囲気、つまり完全にアウェーの中で滑ったことは過去になかったはずです。団体最終日は応援団に回り、フリーを滑ったリプニツカヤの演技をじっくり見た。そして、例の大歓声を再び聞いて驚いていた。個人戦では、地元ロシアの大応援団を味方につけるリプニツカヤの直後を滑る選手はやりにくい。4年前の雪辱を期す真央の目の前に、突然大きな壁が現れたのです」
敵はリンクで滑る選手だけじゃない。