史上初100点超え 羽生の飛躍に「金メダル請負人」の教え
オーサーは、ある程度の年齢に達した教え子には、積極的に慈善事業を行うことも求める。羽生は、仙台のリンクで東日本大震災を経験。自伝の印税は、仙台のアイスリンクに寄付している。
演技とは無関係のように思えるが、「コーチ論」などの著書があるノンフィクション作家の織田淳太郎氏がその理由を解説する。
「トップスケーターたちには、より繊細な表現力が求められます。頭だけで理解して踊っても観客を感動させることはできないのです。人間は、感謝したりされたりすることで、心が豊かになる。それが内面からの表現力につながるのです。フィギュアは高い得点を得ることより、楽しく滑って客席の波動と一致することが、演技者にとって最高の喜びではないでしょうか。結果的にそれが高得点につながるのだと思います」
オーサーコーチによって大躍進を遂げた19歳のポテンシャルは、こんなものではない。羽生には、まだまだ成長の余地が残されているのだ。