楽天・松井 「縦角度は野茂」「下半身は上原」のいいとこ取り
■球速を上回る体感速度
さらに松井のフォームには、打者が実際の球速以上に速く感じる秘密が隠されているという。
「股関節をうまく回転しながら、踏み出す右足に全体重を乗せている。この際、(プレートを蹴った)左足は三塁側まで回ります。大リーグに多いフォームです。巨人時代ではなく、メジャーに行ってからの上原(現レッドソックス)の投げ方に似ています。よく上体に頼って下半身を使えていないといいますけど、そうではない。腕を最も振れるような下半身の使い方をしている。下半身をうまく使っているからこそ、腕が振り切れるのです」(吉井氏)
鋭い腕の振りが、打席での体感速度を上げているようなのだ。
松井の投球フォームは野茂と上原のいいとこ取り。それなりの裏付けがあるのだから、吉井氏も指摘するようにオープン戦の数字は決して偶然じゃない。野茂は1年目に18勝8敗、防御率2.91で最多勝に最優秀防御率、最多奪三振のタイトルに沢村賞まで取った。上原もメジャーに行ってから輝きを増し、昨年はレッドソックスの世界一に大きく貢献した。
いいとこ取りの松井は2ケタ勝利どころか、投手タイトルを総ナメしても不思議ではない。