広島・前田健太 メジャー挑戦に「エース特権剥奪」の障害
今オフ、入札制度でメジャー移籍が濃厚といわれる広島・前田健太(25)は、昨シーズン楽天で田中(現ヤンキース)が記録したシーズン24勝無敗のような好成績を残し、気持ちよくチームから送り出されたい。万全の調整でマウンドにのぼり、結果を残すことが理想だ。
ところが、それを“邪魔する”人間がチームにいる。先発ローテーションに加わっている大瀬良、九里の新人2投手である。
さるチーム関係者がこう言うのだ。
「チームの大黒柱であるマエケンはこれまで、ローテーションの軸として一定間隔での登板が守られるなど優遇されていた。しかし、今季のチームは事情が違う。大竹がオフに巨人に移籍したこともあって、先発投手陣が手薄。大瀬良、九里の新人2人をシーズン最後まで持たせなければリーグ優勝は見えてきません。そこで、首脳陣は大瀬良と九里の状態を最優先にして登板間隔を決めたい。それによって実績のあるマエケンや3年目の野村(祐輔)のローテーションが不規則になっても仕方がない。ガマンしてもらう、と考えているのです」
前田ら実績のある投手なら、それでも万全の状態でマウンドに上がってくれる。そう信じているからこそ首脳陣は不規則登板を課そうとしているのだが、前田にとってみれば、新人投手2人が活躍すればするほど、自身の登板間隔に影響が出始める。その結果、登板間の調整は、さらに困難になるはずだから、結果を残してメジャーに行きたい身としては複雑な心境だろう。
育ててもらった広島に入札上限額の20億円を置き土産として残したい、という気持ちが重圧になりつつあるともいわれる前田。簡単には海を渡れない。