中日を2安打完封…西武・十亀は制球アバウトで性格は繊細
「(地元浜松出身の中日ルーキー、鈴木との投げ合いで)ちょっと悪役みたいな感じだったけど、成績とは別のことになるので……」
これには浜松球場の中日ファンも苦笑いすることしきりだった。
中日打線を2安打10奪三振と牛耳り、今季初完封で4勝目(4敗)を挙げた西武の十亀剣(26)。開幕直後は抑えを任されるも結果を出せず、5月10日のソフトバンク戦から先発復帰した。
愛工大名電時代は2番手投手。高校進学当初は上から投げていたが、あまりのノーコンぶりに試合でも死球を連発。打撃投手で味方にぶつけることも一度や二度ではなかった。愛工大名電の倉野監督も「ボールの威力とスピードは魅力なんだが、とてもじゃないが試合に出せない」と頭を抱えていたという。そこでサイドスローに転向を勧めると十亀も当初は難色を示したが、「試合に出られなくなるよりは」と渋々ながら了承した。
昨季まで西武投手コーチだった石井貴氏は「今でもパワーで押すタイプです」とこう言う。
「球種はスライダーにシンカーとカーブ。先発ならストンと落ちるボールが欲しいけど、サイドスローではフォークを投げても落ちにくい。だからむしろ、荒れ球を打者に意識づけた方が武器になる。もともと、制球で勝負するタイプではない」