幹部候補にはなれず? 日ハム稲葉の「精神論」に“劇薬”懸念
「ファイターズがファンに身近な存在になり得た最大の功労者のひとり。努力はうそをつかないとは稲葉選手の野球人生を言い表すものだと思う」
2日、本拠地の札幌ドームで今季限りでの現役引退を表明した稲葉篤紀(42)に関して、小林浩オーナーは最大限の賛辞を贈った。
2000本安打の名球会メンバーながら、アマ時代から注目されていたわけではない。法大から94年のドラフト3位でヤクルト入り。当時の野村監督が、たまたま長男の野村克則(明大)を観戦していたときに見いだした選手だ。名実ともにトッププレーヤーに上り詰めたのは、オーナーも言うように「努力」があればこそ。札幌ドームで試合のある日は、最後まで球場に残って素振りすることも珍しくない。努力の人、苦労人であるがゆえに中途半端な妥協は許せない。
■「兼任コーチ」を外したチームの判断
しかし、自分に対してはともかく、厳しさが外側に向くと、時としてあつれきが生じる。地元放送関係者がこう言った。
「特に若手に対しては厳しいですよ。練習態度に見かねて精神論をぶつこともしばしばだといいますからね。投手に対しても遠慮しません。KOされていたたまれずロッカーに引っ込もうとした投手を、ちゃんとベンチに座って応援しなきゃダメじゃないかと叱り飛ばしたり、ベンチで鬱憤を晴らそうとした外国人投手をたしなめたこともあります。言っていることはいちいちもっともでも、言い方や言う場所に配慮しないから、言われた側の不満が増幅するのです」