錦織は“渡米で成長” 快挙喜べない日本テニス界の育成事情
父の清志さん(58)は息子を強くするために、いろいろなことを研究し、留学を決めた。テニスジャーナリストの塚越亘氏は「錦織がここまで来たのは、両親が13歳で留学させる決断をしたからです」と言ってこう続ける。
「13歳の子供を単身渡米させるということはなかなかできるものではありませんが、留学経験によって錦織選手のプレーや考え方が世界基準になったことは間違いないでしょう。例えば、アカデミーの寄宿舎ではこんなことがあったそうです。冷蔵庫に自分の名前を書いた飲み物を入れておいたら、誰かに飲まれてしまった。日本ではまずそんなことはない。錦織選手はショックを受けたと同時に、日本の常識や考え方が通用しないことを知ったのです。イジメではないものの、最初のころは英語が話せないのでからかわれたりもした。ホームシックになりながらもライバルとは競争もしなければならない。こういうことも強いメンタルのベースになっているのです」
清志さんは、「日本人選手が世界で活躍できないのは個性が弱いため」と言う。息子を迷わず海外留学させたのは、「日本の中学、高校の部活動では、個性を大事にして育てたり、伸ばしてくれるとは思わなかった」とも語っている。