錦織は“渡米で成長” 快挙喜べない日本テニス界の育成事情
全豪女子シングルスでベスト8(77年)、同ダブルスで準優勝(78年)の経験がある佐藤直子日本プロテニス協会理事長は「若いうちから海外でプレーすることは多くのメリットがある」と言う。
「トップクラスの選手は当然、高いレベルの練習をするため、練習相手にはそれなりのレベルを求めるものです。錦織君はジュニア時代から国際試合に出場しており、実力を認められトップ選手と練習する機会は多かった。実戦でトッププレーヤーと互角の勝負や接戦を演じれば、他の選手から練習相手として指名される機会は増えます。実力が認められれば『次の練習には圭を呼ぼう』と声がかかるようになり、若いうちからトップ選手とのゲームを体感し、場数を踏むことで格上の選手にも臆することなく自分のテニスができるようになるのです。日本で練習を積んでいたら、恐らくですが、今の活躍はなかったのではないでしょうか」
■指導者の考え方、スケールにも差
ニューヨーク・タイムズ紙は、13歳で渡米した錦織の「日本人離れした特質」が快挙につながったと報じているが、スポーツライターの工藤健策氏は「米国の広大な練習環境や強力なライバルとの切磋琢磨もさることながら、指導者の違いが大きい」と言う。